今、1週間に4件、七日参りがありますが、そのうちの一軒久保田孝則さんの母上ヨシヱ様の七日七日は、ひい孫が10人お参りに来ます。
 先日、4七日のお参りに行くと、幼稚園生のひい孫さんに、「なもあみだぶつのオンちゃんがきたよ。」と言われました。 初七日からお経本をもっていき、配り係さんに全員分10冊配ってもらい、父母、祖父母は、自分のお経本で、声を合わせて、お正信偈をお勤めするようにしていますが、六首引きのお念仏のリズムがいいのか、子どもたちは特に大きな声になります。そんなことがあったので、「お坊さんが来たよ」ではなく、「なもあみだぶつのオンちゃんがきたよ。」という言葉が出たのでしょう。ぼくは、本当に有難いことだと感心しました。
 ひ孫の声に引きずられるように、お父さんもお母さんも、おじいちゃんもお婆ちゃんも、親戚のおじちゃんも声をそろえて、親鸞さまが心血注いで残してくださったお正信偈をお勤めするようになって下さいました。先立たれたひい婆ちゃんヨシヱ様が善智識(仏法の先生)となって、還相摂化のはたらきをして下さっているのだと感じました。
 教行信証には、「浄土真宗を案ずるに、二種の回向あり、ひとつには往相、ふたつには還相なり」とあります。あの世に行ってお終いではなく、お浄土に還らせていただき、残されたものを教化していく働きのことです。
 一休さまは有漏路より無漏路へ還る一休み、雨ふらばふれ、風吹かばふけ」とおっしゃいます。
 親鸞さまも、「安養の浄土に還帰すと言えども、和歌の浦和の片男波の、寄せ掛け寄せ掛け帰らんに同じ」と御臨末の書で述べておられます。
 お浄土に往生されたご先祖様方は、こちらが思うより早く、忘れておろうが、忘れることなくいつも案じてくださっているのです。その還相の働きを、七日七日やご法事の時に味あわせていただくのです。お礼の言葉は、「なもあみだぶつ」です。
 そういう意味で、「なもあみだぶつのオンちゃん」は、有難い呼びかけだと思いました。













  
新シリーズ 「お念仏を悦ぶ人々
木本信昭師●(元西有田町教育長)
 
 旧西有田町は、教育長を公募していた時期がありました。その時、募集に応じ、西有田町の教育長に就かれたのが、木本信昭さんです。
 木本先生は、山口県の中学校の先生から、下関美術館の副館長などを歴任され、2002年西有田町の教育長に就任されました。合併後も有田町の教育長として、2010年までお勤めになりました。
 その当時、僕は組合の執行委員などをしていましたので、勤務条件交渉や教育条件整備などの要求について、よく話をしました。教育行政のトップとして、よく話を聞いてくださり、組合の要求を県に掛け合ってくださったり、意気投合したのと、「遇斯光庵だより」を広報にしありたに掲載されていたご縁とで、法泉寺むりょうじゅ会にも出講していただいたこともあります。ただ一度だけ、フッ素洗口を学校現場に導入された時は、言い争いをしたことがありました。
 しかし、土徳ある山口県でお育ちになったことで、浄土真宗、特に親鸞聖人をいたく尊敬され、「仏教随想『歎異抄」にきく」という258ページからなる著書を出版されています。その時、山口の日赤病院に入院されていて、ベットの上での著述でしたが、お誘いを受けて、山口市の光台寺様へ出講した折に、お見舞いに行くと、その草稿を推敲してくれと頼まれ、セントコア山口のホテルの一室で、徹夜して読ませていただきました。獺祭や山頭火という山口の美味しい酒の味を味わうこともなく、久しぶりに熟読したことを覚えています。

 その本のラベルには、次のように書かれています。
善人なをもって往生をとぐ、いわんや悪人をや

 「高校生の頃に出会った「歎異抄」のこの一言に衝撃
を受けて以来、困難な時にも、深い悲しみの時にも、病床
に伏せている時も、そして、よろこびの時にも、聖人の言葉
は、生きる支えとなった。浄土真宗本願寺派・光台寺の機
関紙に連載していた内容をもとに一冊にまとめ上げた随想
集。」

 現在、奥様の看護をしながら、作陶を楽しみ、その様子
をフェイスブックで発信されています。
 



















★11月行事予定(住職動静)
4日 佐賀県山の会議 13:00~アリタセラ三夜公園 
7日 西松浦教職員退職者協議会役員会 15:15~ろうきん伊万里
   13日 
むりょうじゅ会 夜7時30分~
         歎異抄を味わいます。
9日、23日 伊万里栄町歌う会 (13:30~15:00)
18日 有田まちづくり公社 わくわくl教室 法泉寺門信徒会館 10時~
23日 上本秋まつり 8:00~三葉館
28日 楠木原高齢者サロン説法ライブ 13時30分~
30日 有田町社会福祉協議会主催 家族介護教室 お話 10時~12時 


●お知らせ
 楠木原の藤川省三さんが、自作の陶芸作品の展示会を開かれます。藤川さんは、設計が専門ですが、趣味が高じて、たくさんの土物の陶器を製作しておられます。2年前のお彼岸のイベントに焼き物づくりのワークショップをしてもらったこともありました。線香立てや香炉など主に仏具をみんなで作りました。藤川さんは、佐賀大学の特設美術科を卒業されていますので、今回の展覧会「佐大特美67P展」は、その時のお仲間との合同展覧会です。下記のように開催されます。興味のある方は、ぜひご覧ください。
  

時:11月7(火)~12(日)日 10:00~18:00
所:佐賀市高伝寺前 村岡屋ギャラリー

●お知らせ 再び(8月号の再掲載)
 有田町中樽の辻聡彦さんは、法泉寺のご門徒です。陶芸家で、有田焼の様々な器や陶板画を作製し、全国のデパートで展覧会を開催したり、上有田駅を活性化する仕掛けを色々考える鉄道ファンでもあります。その辻さんの展示室の聰窯ショールームで、8月8日から「手のひらにのる小さな世界」ー緒方周子ミニチュアコレクション展ーが開催されます。辻さんは、有田町の活性化につながったらいいなあという思いで、沖縄出身で福岡の筑後在住市在住の緒方周子さんが収集しておられるさまざまなミニチュアの展示会を開催されます。11月30日までのロングランですので、ぜひ覗いてみてください。

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一口法話    2023,11桃谷法信

なもあみだぶつのオンちゃん